information:空間とマテリアルの協奏曲 ~長崎の作家たちと長谷光城

長崎大学井川研究室卒業生による現代アートグループ「RING ART」の作家、井川惺亮、中田寛昭、野坂知布、波多野慎二、廣岩裕香に若狭の作家、長谷光城による6人展を開催いたします。「RING ART」は2010年から〈アートと国際〉、〈アートと平和〉、〈アートと子ども〉をテーマに美術文化運動を果敢に展開しています。

長崎と若狭の出会いは、2019年の「2019 Summer 6:six Crash」展(熊本県立美術館分館)、「2019 Autumn 6:six Crash」展(熊川宿若狭美術館)に井川と長谷が出展し交流が始まります。RING ARTが主催する2021年の「春風ながさきよりXXⅢ」展(長崎ブルックホール)に長谷が招待出品をうけ、関連イベントとして開催されたシンポジウム「子どもアート」のパネラーを井川と長谷がつとめ、更にギャラリートークも行われました。

被爆77年を迎える今夏、若狭の地で、各作家が提示する異空間のせめぎ合いのなかに身を置き、アートの力と人類が希求する平和を考え、あわせて地方で取り組む現代アートグループの美術文化運動の今日的意義を問いたいと思います。


下﨑滋彦彫刻展


個展に寄せて 下﨑滋彦

新雪に踏み入るようなここちよさ。しかもひとりではなく。

調和と違和感の境界に立つかたち、それが私の彫刻制作の主題です。
笏谷石・木片・鉄金具、違素材の不協和音と一つの生命を模した像の調和(カノン)。その旋律の模索。丁度良く人や動物の姿に見えたり、ミリ単位でバランスが崩れる瞬間に真新しい造形の力が宿らないかと探しています。

笏谷石はとってもおしゃべりです。
小砂利は邪魔するし、想っても無いとこで直ぐ割れたがります。
でも、緑がかったパステル調の色味と落ち着いた静かな呼吸をしているような質感に魅力を感じ、制作しています。
火山灰が降り積もり、とてつもない永い時間に押し潰されて固まった石。
その昔、越前青石と呼ばれ、北前舟に乗っかって全国各地に流通していた越前福井の特産品。
安土城建設時、北ノ庄城主柴田勝家が織田信長に献上していると文献にもあります。
もっと昔の古墳からも埋葬品として発掘されたりもしています。
街なかを歩いていると塀や敷石、墓石としてよく使われているのを見かけます。
守ったり鎮めたりといったエレメントを感じる素材です。
私の制作もこの素材感に引っ張られるようにして形が見つかっていきます。
なかなか乱暴な表情にはなりたがらずに、悟されているような笑みが浮かびます。
造りたい形と石がなりたがっている形。
対話の末に調和や魅力にならないかなぁとおねだりしている今日この頃です。

積み木のような見立ての面白さが出たらなぁと積み上げては崩し積み上げては崩ししています。どうしても顔や手を乗せると人の姿が浮かびます。そのピッタリはどこか,ギリギリはどこか,見立ての気持ちよいところの正体をつかまえたいです。
鉄金具はベクトルの顕在化、内在している力の方向性が説明できるのではと考えています。
さびは時間の経過、物語の風化。

このシリーズを[祈りの誤差]と名付けました。
木屑や石塵にまみれながら「造ること」は、「祈ること」ととても似ているなぁと感じていて、良くなれ良くなれと願いながらひと彫りひと彫り探してます。そして叶う時ってピッタシそのまま叶わないんじゃないかなぁと。自分が想い描いている形と、素材が成りたがってる形が重なって魅力ある作品になるのではと。

長い距離を歩み通すとき、アフリカの子どもが手している道具って楽器なんですって。
夢中が想いもよらないところまで連れて行ってくれる。
よたよたの青二才が「何か造りたい」って想い立って彫刻を選んでから、
随分遠くまで連れて来てもらえたな思っています。(こうして皆様ともお会いできました…)

悪意から遠のいたのだ。
振り返ると闇雲さにぞっとしながらも。
媚や諂い、仄かな悪意から年々遠のいているように思う。
笏谷石を削りながら、私自身も彫刻してもらえてるようです。

像に求めるのは真新しい秩序。未知の知。

締め切り直前まで、積み上げては崩し、積み上げては崩し…
見つけるまでは焦りに押しつぶされて、この世のすべてを呪うように彷徨い、枯れ果てて…
見えたッ! つかまえたッ! と、その瞬間にあふれだす多幸感。
夜ふけ美術準備室でひとり、吠えたりしています。

もしかしたら神さまに好かれてるの?
世界中のすべての人に感謝しはじめてる。
四十五過ぎても自分にあらたな可能性を感じてしまうって幸せなことだなぁとお裾分け。
幸せを感じ取る力を鍛えるの? 美術って?

未来の結晶(=生徒等)の前でふんぞり返って、のた打ち回って、
物質社会にあおられた価値観の、その眼から鱗を落としまくってやらねばと、
また夜ふけの美術準備室でひとり、蒸気を噴き出している。



下﨑 滋彦 shimozaki shigehiko 略歴

1974 東京都小金井市 生まれ
2001 東京造形大学彫刻専攻卒業
2003 筑波大学大学院修士課程芸術研究科 彫塑専攻修了
2004 結婚を機に奥様の出身地、福井県に移住
現在 北陸学園中学校高等学校勤務

◆個展  2022 ギャラリー暁・銀座
2016,2019,2021 ギャラリーサライ・福井市
2011 E&Cギャラリー・福井市
2010東京芸術センター・北千住
◆グループ展
2022 ふくいアートアタック報告会「下崎滋彦・福田裕理展」(AsCギャラリー:福井)
2021 明日を担う若手作家による若狭路美浜現代美術展(美浜町なびあす)
2017-22究展(福井県立美術館)
2014-22新彫会(福井県立美術館)
2011-20 BJ美術準備室展(福井市美術館,金沢21世紀美術館,海岸通ギャラリーCASO)
2002金属作家新鋭展(Metal Art Museum:千葉)、他
◆公募展 日本芸術センター第1回彫刻コンクール 審査員賞
プレフェスタ国民文化祭 実行委員会会長賞
第59回福井県総合美術展 大賞
第60回福井県総合美術展 60回記念賞
第22,23回市美展ふくい 市長賞
第22,23回美浜美術展 入選
第3回佐野ルネッサンス鋳金展 入選、他

作品リスト



information:下﨑滋彦彫刻 展

令和4年 4月30日(土)▶ 6月26日(日) 10:00~16:30


祈りの誤差

木屑や石塵にまみれながら「造ること」は、「祈ること」ととても似ているなぁと感じていて、良くなれ良くなれと願いながらひと彫りひと彫り探してます。そして叶う時ってピッタシそのまま叶わないんじゃないかなぁと。自分が想い描いている形と、素材が成りたがってる形が重なって魅力ある作品になるのではと。
下﨑滋彦


きらりアート展

「きらりアート展」は福井県在住の障がい者や特別な支援を要する人や児童たちのアート作品の公募展です。
一般の部の入賞作品を当美術館で展示、紹介いたします。純真でハートフルな表現をお楽しみ下さい。






information: 第12回きらりアート展

2021年度 
福井県第12回障がい者アート作品公募 一般の部入賞作品

25th February — 28th March

「きらりアート展」は福井県在住の障がい者や特別な支援を要する人や児童たちのアート作品の公募展です。
一般の部の入賞作品を当美術館で展示、紹介いたします。純真でハートフルな表現をお楽しみ下さい。

文化庁委託事業「令和3年度障害者による文化芸術活動推進事業(文化芸術による共生社会の推進を含む)」