東極の磁場 in WAKASA 2024


「東極」とは 、日本、朝鮮半島を含む地域が、中国、アジア、ユーラシア、ヨーロッパ等の西側の世界から次々と押し寄せてきた文化を混在させながら融合し、変容させてきた極地の文化圏である。その中でも、極地・日本は、広く世界のさまざまな分野の刺激と影響を大きく受け、それらを柔軟に受容し、独自の新たな発信の主体となってきた。現代に生きて、「東極」の地で制作に取り組む日本を初め東アジアの作家たちが相集い、明日に拓かれる美術を、極を逆転し、西側をはじめ世界に向けて発信する新たな展覧会を開催する。そのような発信の場としては、古代より大陸に開かれた玄関口であった若狭の地・熊川宿で開催される熊川宿若狭芸術祭は、最もふさわしいと考えられる。

長谷光城


長谷光城

1943生  福井県在住 現代美術作家  多摩美術大学絵画科油画専攻卒業
1968 北美文化協会に参加~1977。第5回北美大賞受賞。1975 若美作家集団を結成~1985。
1983 第16回現代日本美術展大賞受賞。
2012 アートドキュメント2012「長谷光城の現在―はざま」展(福井県:金津創作の森)。村松画廊、東京画廊等で個展開催35回、多数のグループ展に出品。子ども美術、障がい者アート支援活動にも取り組む。

福井県の一隅・若狭に住み、豊かな自然と深くかかわりながら、生きることの根源を問い続ける。私の日常的な生活の営みから展開する<ものごと>と<社会>、それらの動と静とも云える<自然>が一体化した地方の実相。その実相は微妙なズレを生じさせながら流動的である。とらえにくい実相を、身のまわりにある多様な素材と一体となって形相化する試みが私の制作。トリアエズ、カタチカする試みを今日も続けている。


丸山常生

1956年東京に生まれる 東京都在住
1982 東京芸術大学大学院 美術研究科 絵画専攻修了 1979年より美術家・パフォーマンスアーティストとして活動開始。近年の発表は以下など。
2022 個展 “At the Stillpoint of the Turning World”  (Art Space Claudia Delank  べルリン ドイツ)
“MILKY WAY” – Art, Time, Space(Muzey savremene umetnosti Vojvodine  ノビサド セルビア)
2023 「東極」の磁場 in WAKASA 2023  (熊川宿若狭美術館 若狭  福井)
2024 個展 閾値 -「サキ」のまにまに  (トキ・アートスペース 東京)

“install-action”という方法は、installationにおける造形的空間とactionとしての身体行為を、一連の作品として統合させた造語である。そこにはモノ(場)とコト(時間)、双方の局面からアプローチできる可能性が開かれている。揺れ動く「今・ここ」を起点とする、存在と消失の間に浮かぶ私たちの「生」、そして構築と崩壊を繰り返す私たちを取り巻く「環境」の様相は、この方法で私なりに再編成できるのではないかと考えている。


中川 猛

1950生 茅ヶ崎市在住 美術家 東京芸術大学大学院絵画科修了
1979 神田駿河台画廊 個展
1987 第6回浜松野外作品展 (静岡)
1993 かわさきIBM市民文化ギャラリー 個展(神奈川)
2017 上海梧桐美術館 個展(中国。上海)
2019 SPCギャラリー 個展 ’19、’21、’22。’23 (東京)

絵画制作から表現活動を続けてきた。その絵画のフレームの内側と、外側の関係に興味を持ったことから、内・外の関係をテーマに、身の回りのごくありふれた素材(合板パネルや、木、銅板、アルミ板、コンクリートなどの素材)を使い、作品空間と、観る側との関係に、視覚の変容を促す表現に取り組んでいる。
TRANS STRUCTUREをはじめ、NEO ZIGGURAT、ANTINOMY(二律背反)をテーマにしたシリーズ作品などを制作している。


范 鐘鳴

1958生 上海在住 美術家 上海師範大学卒業
2020 六人展 離れない–京滬六⼈作品展 兆域空間 北京 中国
2020 グループ展 堺 新華新空間上海 中国
2021 個展 第九回深圳国際芸術博覧会B29 深圳市 ⼴東省 中国
2021 グループ展 ⾮常·異常 時尚⽂化創意センター 寧波市 浙江省 中国
2021 三人展 芸術三昧 妙⼭美術館 湖州市 浙江省 中国
2021 全国作家展 鷹城星光“聚合” 平頂⼭市立美術館 平頂⼭市 河南省 中国

早くも一年過ぎてしまいました。僕が相変わらず美術制作の「旅」が続いています。いつも追っているのは作品の新鮮さです。洗練されたのもではなく、煮詰まったのもでもなく、思考先行したのもでもない新鮮さが欲しい。作りかけのようなものを作りたい、キーワードはランダム、脱構築、無意味、内臓感覚そして自己コピーせずに!


市野泰通

1951年京都生まれ 横浜市在住 美術家 東京藝術大学デザイン専攻卒業
2010 登米アートトリエンナーレ2010、みやぎの明治村、登米
2016 個展 「Landscape/Relationship」、上海梧桐美術館、上海
2020 個展 「Landscape SP–D」、SPCギャラリー (2024 Landscape SP–G)、東京
2023 COSTELLATION 2023展、練馬区立美術館、東京
2024 「東極」の磁場 in WAKASA 2024、熊川宿若狭美術館(2023)、若狭

近年は「すべての出来事は同時進行……」を念頭に、身近な生活環境の中にある素材(座標、重力、地軸、建造物、遺跡、廃材、自然環境等)を手掛かりにして、自身の中で同時進行する複数のアイデアやイメージを一つの作品として表現できないものかと試行している。
今回の重力や位置関係を意識したインスタレーションも、日常と非日常が混在しながら複合的で複層的であることを目指して制作している。


李 海峰

1960生まれ 上海在住 現代美術作家
1991年7月に上海師範大学美術系を卒業。
2022 「各鏡と相望」北京北上北芸術展
2022 「相見相歓」上海現代芸術展
2023 「影像マトリックス」上海李海峰個展
2024 「限界の外」上海滬申画廊芸術展

私は円を使って絵を描いている。2007年から現在にいたるまで、すでに15年にわたっている。それは描画方法であると同時に、一種のシンボルともなっている。円は始まりでもあり、終わりでもある。
また、私の絵は批判的、記録的、そして予見的という特徴を持っている。通常の点、線、面を使った描画法と比べ、円を使った描画法は描かれた対象の形態を正確かつ迅速に表現するのが難しく、円を描く過程で描かれた対象に徐々に近づいていくしかない。


山根秀信

1959生 山口県在住 現代美術作家 東京芸術専門学校(T.S.A)卒業
2023 個展「オブジェ-風景 2023」クリエイティブ・スペース赤れんが(山口)
2017  「ニュー・フラット・フィールド」 デジタルハリウッド大学八王子制作スタジオ(東京)
2012 個展「里山の限界芸術Vol.1」山根秀信「風景」展 まつだい「農舞台」ギャラリー(新潟)
2007 ワークショップ「ROUTE102-豆腐を食べて、小径を作ろう-」山口市中心商店街(山口)
2006  「中原中也・詩の情景/絵画の情景 あゝ?-山根秀信」  中原中也記念館(山口)

ありふれた日常の風景は、そこに暮らす私にとって、それがありふれていればありふれている程意識に上らない。そしてそれは対象化されないほど私の在り様を根底で規定している。という考えに至った時から「地」としてあった風景が《つまらないもの》という輪郭線を伴った「図」として顕れてきた。それ以降、風景を題材に《つまらなさ》を作品の主題として、もちろんそれは《つまらなさ》へと向かう視線の変容の試みとして制作を行っている。